借金の状況とは、
どこから借りているのか、どれだけの期間借りているのか、完済しているあるいは返済中なのか等です。
振り込みの記載がある通帳など、証拠が残っていればスムーズに次のステップへ進めますが、もし手がかりとなる証拠がない場合は、信用情報機関から信用情報を入手することも可能です。
借金の状況を調べる方法例
契約書、利用明細書、カードなどの確認をする
預金通帳の引落記録を確認する
信用情報機関(CICやJICC等)から信用情報を入手する※
※信用情報は法定相続人の配偶者や子供・両親、第2親等の祖父母・兄弟・孫であれば相続前でも調べることができます。
相続する遺産の中に借金があると、「このまま相続しないといけないのか」や「他の遺産を相続したいのに借金があるせいで…」ととても不安になりますよね。
このような不安で、相続放棄のお手続きを進めてしまうご相談者様が大変多くいらっしゃいます。
しかし、その借金には過払い金が発生している可能性があります。残りの借金より過払い金で戻ってくるお金のほうが多ければプラスの財産として相続することが可能です。
遺産の中に借金があるとわかったら
STEP2:過払い金が発生しているかどうか調べる(引き直し計算)
借金がある、もしくはあったとわかった場合は、過払い金の有無を調べましょう。
過払い金が発生しているかどうかは、正規の金利(18%が目安)で、利息の再計算(引き直し計算)を行って確認します。
この利息の再計算には、取引履歴が必要です。取引履歴は、借金をしていた取引の明細になりますので、業者に開示請求をしましょう。取引履歴を取得したら、それをもとに再計算を行うという流れになります。
引き直し計算(過払い金計算)はとても細かく、業者によって計算方法が違う等、非常に複雑で専門知識を要します。そのため、ご自分で行う場合など間違った計算のまま過払い金請求を行なってしまうと大きな損失になる可能性があります。
当事務所では、取引履歴の取得や引き直し計算も代理で行なっておりますので、お気軽にお問い合せ下さい。
「完済・返済中の借金を誰が相続するのか?」を相続人全員で話し合います。
その相続方法は「特定の人のみが相続する」か、「全員で等分して相続する」かになります。「特定の人のみが相続する」場合は<遺産分割協議書>を作成します。
なお、「全員で等分して相続する」場合は、過払い金が発生していた際には、借金の相続分に応じて過払い金も分割されます。また、その請求の方法には以下の3つの方法がありそれぞれにメリット・デメリットがあります。
1、相続人各々が個別に請求
2、相続人全員で請求
3、相続人の中の1人が代表して請求
借金を「全員で等分して相続する」場合の過払い金請求のメリット・デメリット
メリット | デメリット | |
---|---|---|
相続人各々が個別に請求 | ・タイミングの自由度が高い ・他の相続人との精算が不要 |
他の相続分とは別になる為、時効は中断とならない |
相続人全員で請求 | ・一度で全額回収が可能 ・他の相続人との精算が不要 |
相続人全員の協力が必須 |
1人が代表して請求 | 一度で過払い金全額の回収が可能 | 他の相続人とで精算が必要 |
被相続人の借金を再計算した結果
発生した過払い金で借金の返済ができ、残った過払い金が相続した方のプラスの財産となります。そのため借金より過払い金が多く発生した場合は、そのまま相続することをお勧め致します。
その他のプラスの財産で借金を返済し、それでもまだ財産が残るのであれば、その残った財産が相続した方のプラスの財産になります。ただし相殺して借金しか残らない場合は、相続人が借金を返済しなければなりません。
借金より過払い金の方が少ない、もしくは過払い金が発生しなかった場合は、相続放棄を選択するパターンが多く見られます。
完済されている借金の過払い金請求をし、過払い金が発生した場合、その過払い金がそのまま相続した方のプラスの財産となります。
多くの方が、亡くなった方(被相続人)に完済していた借金があったことを知らずにいるようです。過払い金請求ができる場合もありますので、完済した借金があるかどうかも調べる必要があります。
※当事務所でも引き直し計算をし、どれだけ過払い金が発生しているかお調べすることが可能ですのでお気軽にお問い合わせ下さい。
被相続人の借金の過払い金請求に必要な書類
- 被相続人の戸籍(出生から死亡時までのもの)
- 相続人全員の戸籍
- 遺産分割協議書(印鑑証明付き)
- ※法定相続人全員で相続する場合は不要
- 委任状 ※弁護士や司法書士に委任する場合のみ
被相続人の借金の過払い金請求における注意点
相続放棄を行った場合、一切の相続権を放棄したとされるため、過払い金請求権も放棄することになります。遺産分割協議に参加する必要もありません。
過払い金請求権には消滅時効があり、最終の取引(完済日)から10年未満であれば行うことが出来ます。例えば、11年前に完済し、それ以降取引がない場合はすでに過払い金請求の時効が過ぎてしまい、請求すらできなくなってしまっています。
借金の有無から調べる場合、多くの時間を費やすことになりますので、早めにご相談下さい。